2025年1月〜3月期の訪日外国人による旅行消費額は、前年同期比で28.4%増となる2兆2,720億円に達し、大きな伸びを記録しました(観光庁発表・2025年4月16日)。コロナ禍で一時沈静化した訪日需要は、いまや勢いを取り戻し、むしろ過去最高水準に近づいています。国別の内訳を見ると、最も多く消費しているのは中国(5,443億円)、続いて台湾(3,168億円)、韓国(2,824億円)、アメリカ(2,188億円)と続きます。
また、費目別では宿泊費(33.4%)が最も多く、次いで買い物代(29.3%)、飲食費(22.5%)となっており、まさに日本の「おもてなし」産業全体にわたる消費が活発化していることがわかります。こうしたデータからも、日本を訪れる外国人観光客が求めているのは、ただの観光体験だけでなく、文化や人とのふれあい、言語を越えた心地よさであることが見えてきます。このような大きな市場の広がりは、企業にとってもチャンスであると同時に、新たなターゲットへの対応力が問われるタイミングでもあります。そして今、その一手として注目されているのが「外国人インターンの活用」なのです。
インバウンド需要の拡大に伴い、訪日外国人の「ニーズ」も多様化しています。以前は観光地を巡るだけだった旅行スタイルが、今ではローカルな体験や、人との交流、文化的な理解に重きを置くようになりました。こうした流れのなかで、企業に求められるのは「言葉の壁を越えた接客」や「文化背景を理解した情報発信」など、従来の対応だけではカバーしきれない領域です。
そこで注目されているのが外国人インターンの存在です。彼らは訪日客と同じ目線を持ちながら、日本の企業で働く立場でもあり、その架け橋のようなポジションに立つことができます。たとえば、英語やその他言語での対応、自国の視点を活かしながら日本文化に配慮した伝え方、SNSやレビューサイトへの効果的な発信など、多言語×多文化への感度が求められる現場では、即戦力として活躍してくれます。
さらに、インターンという形であれば、コスト面や受け入れ体制のハードルも比較的低く、「まずは試してみる」ことができるのも魅力です。今やインバウンド対応は特別な業種だけの課題ではなく、飲食店、宿泊業、小売、観光、さらには地域の中小企業にも共通のテーマとなっています。
では、外国人インターンは現場でどのように活躍しているのでしょうか?
実際に観光地を紹介する企業では、英語圏のインターンがSNSの英語投稿を担当し、フォロワー数が約3倍に。別の飲食店では、母国語でメニューを整備したり、店舗を紹介することで、外国人来客数の増加に繋がりました。こうした取り組みは、企業の「リアルな声」として発信され、信頼感や親しみを生む力にもなります。また、外国人ならではの視点が大いに役立ちます。たとえば、「日本語表記だけでは不安」「店の雰囲気が伝わりにくい」といった不満を、インターンが「文化的な背景をふまえて」調整すべきだと提案したケースもあります。ただの翻訳ではなく、「どう伝えるか」にまで配慮できるのが、外国人インターンの強みです。
Story Agencyでは、こうした多様な現場に応じたインターンをマッチングし、それぞれのスキルを最大限活かすためのサポートも提供しています。多様な働き方が広がる今、外国人インターンは人手不足の解消手段ではなく、企業の成長をともに考え、支える“パートナー”としての存在へと変わりつつあるのです。
「外国人採用に関心はあるが、いきなりの雇用には慎重になってしまう」――こうしたご相談を、企業の皆様から頻繁にいただいています。確かに、文化や言語の違い、人事制度の整備など、考慮すべきことは多くあります。ですが、インターンという形であれば、まずは短期でお互いを知る機会として活用することができます。実際に、インターンをきっかけに、のちにアルバイトや正社員として採用に至ったケースも少なくありません。また、インターンが在籍することで、社内に「外国人と働く」文化が自然と根づき、既存社員の意識や成長にもつながるという副次的な効果も見逃せません。
Story Agencyでは、インターンのマッチングからビザ・住居・研修・フォローアップまでを一貫してサポートしています。受け入れ企業のご負担をできるだけ抑えながら、インターンが安心して働ける環境づくりを、企業様と一緒に相談しながら進めていくことができます。
今後さらに進むであろうインバウンド市場の拡大を見据え、今のうちに外国人インターンの活用を始めることは、大きなアドバンテージとなるでしょう。企業にとっても、外国人にとっても、そして地域社会にとっても、新しい「つながり」を生む第一歩になるはずです。