インターンシップに対する考え方の違い

日本と海外で考え方が違う?
Written by
Satomi Abe
Published on
August 6, 2024

昨今、学問と実社会をつなぐ重要な役割としてインターンシップへの関心が急速に高まっています。キャリアや採用に対する考え方が多様化する中で、企業と学生の双方が、今までよりも早い段階からお互いを理解し合うことが重要になりつつあります。

このインターンシップに対する「期待」や「価値」は、文化によって大きく異なる現状があります。たとえば日本の場合、企業の情報周知・採用目的として重要視されることが多く、インターンシップはその第一歩として位置づけられています。一方で、アメリカやヨーロッパなどの国では、インターンシップはキャリア形成のための実践的な経験として捉えられることが一般的となっています。

日本のインターンシップの起源

日本でインターンシップが本格的に定義されたのは1997年にまで遡ります。文部科学省、経済産業省、厚生労働省の三省合同によるインターンシップ推進にあたっての基本的考え方が公表され、インターンシップを「学生が、在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義しました。しかし、インターンシップの運用方法や厳格な取り決めは存在せず、企業ごとにその解釈は異なっていました。
すでにみなさんもご存じかと思いますが、2022年に上記三省が「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」の定義を改正しました。企業がインターンシップと称するためには、実際の就業体験が必須であり、自身の能力を見極めたり、評価材料を取得することを目的としなければなりません。そのため、会社説明会のようなものはインターンシップとは呼べなくなりました。

学生のキャリア形成支援における産学協働の取組みは以下の4つに分類されています。

タイプ1:オープン・カンパニー(業界・企業による説明会やイベント)

タイプ2:キャリア教育(大学などの授業・講義や企業による教育プログラム)

タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ(職場における実務体験)

タイプ4:高度専門型インターンシップ(特に高度な専門性を要求される実務の職場体験)

インターンシップとして位置づけられるのは、「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ」と「タイプ4:高度専門型インターンシップ」の2種類となっています。他にも、その基準を満たす内容のインターンシップを実施することで、学生の情報を採用活動開始後に企業が情報提供を目的として活用できるようになりました。しかしながら、企業の理解度はまだまだ進んでいないのが現状です。
日本では、インターンシップは短期間(1週間から1ヶ月程度)で行われることが多く、学生が企業文化を体験し、最終的には採用について考える機会となっています。一方、アメリカやヨーロッパでは、インターンシップは通常数ヶ月から1年にわたって行われ、実践的なスキルを磨くことが目的とされています。

日本と海外のインターンシップの考え方

日本のインターンシップでは、基本的に大学生をメインに参加対象としている企業が多いですが、海外では転職を考えている20代向けのインターンシップも積極的に取り入れており、即戦力を重視したキャリアを考えるために必要な機会であると考えられています。

日本では、インターンシップを就職活動の一環として見なすことが多く、企業での働き方や文化を理解する機会となっています。特に、企業へのエントリーや面接の前段階として、学生が企業にアプローチするための手段としてインターンシップがあると捉えられていることが多いです。

一方で、海外ではインターンシップを研修期間として捉えられており、基本的にキャリア形成のために自分のスキルを磨き、ネットワークを広げることを重視しています。彼らにとって、インターンシップは新しいスキルを学び、職場での実践経験を積むための重要なステップであるという考え方が強いです。

このようなインターンシップに対する視点の違いは、それぞれの国のインターンシップに対する期待や文化的・社会的背景、教育方法などさまざまな要素が関わっているといえます。そのため日本は、企業文化を理解し、採用につながる手段の1つとして考え、海外では実践的なスキルを磨き、今後のキャリアに重点を置く学生が多いという特徴があらわれています。

まとめ

ここまで、日本と海外のインターンシップに対する考え方について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。インターンシップに対する期待や価値観に正解はありませんが、企業と学生の双方にメリットがある場合は、積極的にインターンシップを活用するべきだと思います。日本のインターンシップに対する考え方は日々進化しており、さまざまな新しい試みが行われています。日本でインターンシップが一般的になる前に、今からインターンシップの体制を整えてみるのも良いかもしれません。

【参考データ】

文部科学省・厚生労働省・経済産業省.”インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方”.2022-06.

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