人工知能(AI)の急速な進化は、ビジネスや社会全体に対して多大な影響を与え、変革をもたらしています。
特に注目すべきは、AI技術が今後、外国人人材の導入や関わり方において企業に新たな可能性を提供することです。従来、異なる文化背景や言語の障壁が障害となり、国際的な人材の採用には多くの課題が伴っていました。しかし、最新のAI技術の進展により、このような課題の多くが克服されつつあります。たとえば、AIによる自動翻訳や通訳技術の向上は、採用プロセスや日常業務における言語の壁を大幅に低くし、国際的な人材の採用をより容易にしています。
言語の壁は、海外人材の採用において大きな障害となっています。企業が海外人材に求める条件として上位にあがるのは「日本語能力」であり、実際に当社でも企業様からそのような声を聞く機会が非常に多いです。しかし、このような問題も今後解決するかもしれません。AIの発展により、音声認識や自動翻訳などの技術が飛躍的に向上しました。
現在、AI技術で注目されているトピックの1つに、歴史上の人物や現代の著名人の声を英語に翻訳し、その声の抑揚まで再現する技術があります。実際にAIによって作成された英語の音声を聞いてみると、人物によって再現度の差はあるものの、その声の質や抑揚が本人に近くなるため、状況や内容がより豊かに伝わり、解釈の幅も広がります。この音声認識・翻訳技術の発展により、異なる言語を話す人々同士のコミュニケーションが円滑になり、外国人インターンやワーカーとの意思疎通が格段に容易になることが予想できます。
日本政府も、言語の壁の解消に向けた取り組みを進めています。
総務省が2020年に策定した「グローバルコミュニケーション計画2025」(※1)では、2025年までにAIによる同時通訳の実現を目指しています。この技術が実現すれば、ビジネスや国際会議における議論や交渉がより円滑になり、観光戦略や外国人との共生社会の拡大にも寄与することが期待されています。2030年には「シビアな交渉にも使える通訳」(TPOや状況に合わせて翻訳が可能なレベル)を目標としており、ビジネス領域でのAIの利用方法が注目されています。
また、AIの発展は観光産業においても外国人人材の需要を高めています。日本政府観光局(JNTO)のデータによれば、2024年4月の訪日外国人旅行者数(推計値)は2019年同月比4.0%増の304万2900人であり、前月に引き続き単月で300万人を超える結果となっています。
観光客対応のために外国語を話せるスタッフやインターンの需要が高まりつつあり、AIの通訳技術がこれを支援することで、観光産業全体の競争力が向上するでしょう。
AI技術の進展により、企業が外国人人材を採用する際の垣根が低くなり、以下のようなメリットを得ることができます。
・多言語対応の強化
AIを活用した通訳や翻訳技術により多言語での対応が容易になるため、外国人インターンやワーカーとのコミュニケーションの労力や時間が短縮されます。
・人材不足の解消
国内だけでなく海外からも優秀な人材を獲得することで、特に高度な専門技術やスキルを必要とする分野での人材不足を補うことができます。
・多様性の向上
国際的な人材の受け入れが容易になり、文化や視点の多様性が高まり、企業のイノベーションが促進されます。
今後、AIの進歩はますます進展し、外国人人材の採用プロセスにおいてもさらに効率的になることが予想されます。
これに伴い、AIは言語翻訳や文化理解の支援を強化し、異文化間のコミュニケーションの壁を一層低くすることが期待されます。企業はこの潮流を捉え、AI技術を活用した外国人人材の導入を検討してみることをおすすめします。AIの導入により、求職者のスクリーニングや選考プロセスが迅速化され、より適材適所のマッチングが実現されるでしょう。積極的に進めることで、国際競争力を高めるチャンスにも繋がります。
Story Agencyでは、海外人材の採用前にインターンシップから始められるため、コストやリスクを抑えつつ、トライアル導入することが可能です。気になることがございましたらいつでもご連絡ください。
AIによる言語の壁の解消と、それに伴う多様性の向上は、企業の未来を明るく照らす要素となるはずです。
【参考データ】
※1 総務省.”グローバルコミュニケーション計画2025”.2020-03.
※2 日本政府観光局(JNTO).”訪日外客数(2024 年 4 月推計値)”.2024-05-15.